北嵯峨の東京放浪記その1

2回目の東京遠征である。

5月9日 目黒鹿鳴館へ!

実を言うと今回の遠征、非常に不安があったのである。

前回は帰りのんびりしていたお陰で到着が遅れレンタカー返すのがギリギリになり、リーダーのTack氏が返してからそこから電車がなくなり一泊しないといけない事になった。


今回はTack宅の近所で借りたのだが返却が日曜日夜20時。


返せるんか…?


何せ遠方に行くのである。お江戸である。お上りさん全開である。交通状況は大体の予測はつくが実際行ってみるまでは何があるか本当にわからない。


予定を見てもなんか不安。


前日仕事から22時ごろ帰り、荷造り。機材を玄関に出す。


まぁ、遅れたらお金払えばいいし、何があっても大丈夫、覚悟を決める。
そないしているうちに前日入りしているKou先輩のLINEが入る。

「◯△持ってきました。□♢忘れました。」

何やとーーー!!!
商売道具やんけ!!

「アホンダラ〜!!」

私はリーダーの返信を見ながら不安がじわじわ増大するのを感じた。
後から思えばKou先輩はこの時からすでに呪われているのであった。
北嵯峨の呪いはしつこく怖い。


呪いのレジェンド。


以前、Kou先輩が本番のリハーサルで暇を持て余してCRAZY TRAIN弾きながらギターを回していたらストラップがはずれギターが飛んでいき、ヘッドが折れた。


4時30分。朝が来た。
うつらうつら。
寝たのか寝てないのかわからない。
6時にお迎えが来る。


申し訳ないが家族にも起きてもらい、私は御飯を食べ、運搬を始める。
6時10分前。吹き抜けからやたらでかい白い車が細い道に入り込んでいるのが見えた。


まずい。


私の家、ここに入ってきてと言っておくのを忘れた。


どうやらナビにそのまま私の家に住所を入れると行き止まりに連れて行かれるのようなのである。


幸い道を一本間違えたので行き止まりではないが、細くてバックが難しくなかなか往来が大変である。


しかしそれにしても車がでかい
ハイエースグランドキャビン。


温泉旅館の送迎バス並みである。
気分はすっかり旅芸人。


Tack氏とK@rinaさんに挨拶し、機材を運び積み込む。


やはり運転大変そうだ。車幅がわからないから曲がるのも恐る恐る。
道に出るのに15分以上かかってしまった。


そして次のピックアップ先新御堂某所へ。
今回お手伝い頂くけい氏を拾う。
そして彼女の的確なナビに従い高速へ入る。
そして、次のピックアップ、
ベースの脇本氏へ連絡。
時間調整のため桂川パーキングへ入り、ここで運転交代。


ここからけい氏の運転。
南インターを超えてほんますぐに深草バス停があるので注意。
見逃しそうな小さい看板を見つけ、バス停に到着。
いたのは脇本氏彼一人であった。
前回はミュージシャンらしき人が他にもいて私は間違えてその人に手を振ってしまった。


「ぐんもぉ〜」今日は彼は飲んでなさそうだ。東京入ってから会場までの運転担当。


BGMはTack氏のiPodから私のiPodへ。
ポーランドのメタルバンドから
イスラエルのメタルバンドOrphand Landへ。全世界進出したアルバム。
ところどころアラブ歌謡っぽい節を挟みながら曲が進んでいく。

Never Ending Way of Orwarrior

Never Ending Way of Orwarrior


新名神から伊勢湾へ。緑が海が気持ちいい。順調である。

K@rinaさんは仮眠をとる、準備のため一睡もできなかったそうだ。

ところどころ脇本氏のトイレコールでサービスエリアに立ち寄る。彼は普段1日に烏龍茶2リットルを2本は飲むそう。


普通の人がやると腎臓をいわしてしまいそうであるが、彼は代謝がすごく良い。


解毒してすぐ排出してしまうのである。彼がライブをたくさんして、たらふくお酒を飲んでもへこたれない秘密はそこにあるのだろう。

今日も「ライブハウスは何するところか知ったはりますかー?」と言うのであろうか?


けい氏と「あそこ、なんやろねー」とか景色の話、水曜どうでしょうの話で盛り上がる。


現時点でこの放浪記の内容が移動中の事ばっかりであるのはこの番組の影響である。下手するとこれで終わるかも…。


原付日本列島制覇の話とか夏野菜シリーズとか最高である。原付で京都から三重に行ったりした事ある私には、彼らが直面する困難、があるある!である。


番組は目的地よりもそこまでの移動がメイン、下手すると目的地は通るだけ、まぁ、人生ってそんなものなのかなぁ。
それが面白いんやけど。それで番組として成り立ってるんやしね。


今日のライブなんか本番なんかあっと言う間なんだろうなあ。30分やしなあ。


とか思いながら車は静岡の足柄まで来た。
曇り。
ここからは富士山も見えるのであるがうっすらであった。


お昼を過ぎたのでサービスエリアで食べ物を物色。
スタバのスコーン、と揚げカマ。
屋台やらお土産品も充実。漬物とか野菜とか魅力的。けい氏も物色。

帰りに寄ろう。私には別の場所でのミッションもあるのだが…。

各々買ってきて車内で食事。
Tack氏は富士宮焼きそばを食べていた。


私はあまり食欲がない。コーヒー飲みまくり。神経が興奮しっぱなし。


しかししかし、道中、怖いくらい非常に順調である。


「この車運転しやすーい!」とけい氏。ついついスピードが出すぎる。130キロ。
しかし車体が大きいので揺れずに快適である。


BGMはクラフトワークツールドフランスサウンドトラック。

Tour De France (Remastered)

Tour De France (Remastered)

ま、マニアック…、クラフトワーク自体は別にマニアックではないがこのアルバムがよくきくと非常にマニアック。


自転車チェーンの回る音、呼吸の音、心拍音をサンプリング。
もちろん自転車走行時。


とはいえ、やはり静岡県抜けるのは長かった。


そしてまたもや気がつけば海老名である。
今回は寝ていない。寝られない。


ここで運転交代。


脇本氏の出番である。
GoogleMAPを見ながら、グイーンとアクセル加速して運転していく。思わず前につんのめる。男らしいぞ。


大分景色が東京らしくなってきた。

SOLITUDE

SOLITUDE


途中碑文谷のダイエーが目に入る。確かここはX JAPANのHEATH氏が住んでいたところらしい。クレープ美味しいんやろか。


昔HEATH好きだったなあ。尼崎出身やし、時々関西弁で天然ボケかますのが面白かった。


そういや、今日はX のコピバンさんと一緒やなあ。


今日は北嵯峨ことNorthwind SAGAとXのコピバンのBelzebuthさん、SHOW-YAのコピバンのROW☆ZAさん、5Xさん。
主催は5Xさん、MAD大内さんのイベント。


5X、調べたら昔カルメンマキさんがいたバンドである。大御所の大御所。実はかなりビビっている。
我が北嵯峨は一番目である。
Belzebuthさんは毎回かなり動員があるらしい。


他のバンドのお客さん最初から来てくれはるやろか。


遠征の目的、それは本拠地以外でのお客さんにステージを見てもらうのが目的である。
音源を買っていただいた遠方のお客さん、youtubeなどで存在を知ってくれたお客さん、そして他のバンドさんを観に来たお客さんにも生の北嵯峨、最強のこってりネオクラメタルを体験してもらう事。


ほんまたくさんの人に見てもらえたらいいなあ。


などといろいろ考えていたら坂のある商店街が見えてきた。
鹿鳴館なる看板が見えた。小さっ!
いよいよ、到着である。
13時30分。間に合った。
間に合いすぎかも。


脇本氏はぐいぐいっとパーキングメーターのあるスペースにハイエースグランドキャビンの縦列駐車を難なくキメた。
その様子は圧巻であった。他のメンバーびっくり。やはり只者ではない。


車の横にはKou先輩が立っていた。後からKing師も登場。
いつまでもここには止められないので皆んなで機材を降ろし、別の駐車場に駐めなおす事に。


しかし、とりあえずは着いたが入りは15時。それまでどうするべ?
もちろん会場は開いてない。


会場の前に機材を降ろすが、横には別な店がある。できるだけ邪魔にならないように奥に置く。


わらわらと立っていたら横のお店の人に注意される。お店はいつもこんなんで迷惑してるんだろうなあ。すいません。


Kou先輩はいきなり上半身裸になり先ほど買ってきた衣装の合わせをしている。
いきなり服を脱ぎだすのでちょっとビックリした。


あまりにも時間があるので、交代でガストに行き休憩する事に。
私は先発組。何を食べたんだろうか、覚えてない。サラダか?ドリンクバーは頼んだ。K@rina氏はスパゲッティを食べている。わずかな時間だったがかなり落ち着いた。


考えたら着く前に駐車場ある近所のお店調べといて入れば良かったね。しかし、その時は安全に会場に着く事で精一杯だった。
弾丸北嵯峨グランドキャビン号。


そうこうしているうちに会場が開いた。ブッキングしてくれたボド氏に挨拶。


機材を運び込む。地下階段をえっさえっさ、階段が多い。
とりあえず客席に機材をセッティングして、リハの順番を待つ。

MADさんに挨拶をする。5Xさんのリハの様子を観る。

ジョージ吾妻さんのギターはかなり男前の音だった。
エクスプローラーにオールドアンプのガッツーンとした音。かっけえ。

私はKROCKARKというブルースロックのバンドもやっているのでこういう音は非常に好みである。


Belzebuthさんは何と関西のバンドさん!
入って来た時はとても地味な感じの人であった。


鹿鳴館は昔からあるホールというような感じである。トイレといい、楽屋といい、歴史を感じる。

この後、髪の毛のセットをしてもらうために楽屋へ。楽屋でBelzebuthさんの音を聞く。


そしてROW☆ZAさんのリハをしている時に自分のセッティングをする。
今日はトップなのでリハでセッティングをしたらそのままステージまで置いておけるから楽である。


いつものリハと違うのは私たちが音だしをおのおのしている時に基本の音をPAさんが作って下さっていた事であった。
そして全体で合わせて音作りを詰めて行く。
とてもやりやすかった。ありがとうございました。



そして、本番前である。各バンド毎にスペースが与えられていてそこで支度をする。私はメイクとか。


となりのスペースではギターの方がカッティングの重要性について他の方に語っている。
まったくおっしゃる通りである。私はギターも習っているのでそこは常に先生から突っ込まれるのである。


そして当たり前であるが、そこで交わされる言葉は関東弁である。


Belzebuthさんは変身中である。メイク中のメンバーの方を見ながらほんまXそっくりやなとびっくりしてしまった。

そして早いものである。本番ステージに向かう時間になった。ステージに昇る前にせまい階段があるのがちょっと怖い。
こけないように気をつける。


各メンバーステージの立ち位置に立ち精神統一である。
お客さんはいるであろうか。


そして、ここで予期せぬトラブルが起こったのである。


なんと、Kou先輩のアンプの電源が入らないのである。

何ですって!!

いろいろ確かめてみるがやはり入らない。


マジかよーー!!(;_; )おろおろ ( ;_;)おろおろ


先輩は今回もやはり呪われているのか。
スタッフの方を呼びに行く、先輩。
ヒューズか。
実は私もスタジオ中に自分のシンセのヒューズが飛んだ事がある。


すると、スタッフの方はケースとドライバーを持ってくるように他のスタッフに指示。
そして、アンプからヒューズを取り出し、さっさとヒューズの型番を調べ、同じ型番のヒューズを取り出し付け替えてくれた。


ジャーン!音が鳴った。助かった!!


親切な対応をしてくれたスタッフさんに感謝である。ヒューズのスペアある程度持っているって事はこういうトラブル結構多いんだろうな。
本当ありがとうございます。ほっとしたよ。


そしてSEから幕が開く。
あっ!お客さんいる!!決して多いとはいえないけどそれでも最初から私たちの演奏を観てくれるのはありがたい!
助かったよ!!


もう後はいつもように演奏するだけ。東京であろうとどこであろうと関係ない。
順調に進み、終了まではこれというミスなく終了。聞いて下さったお客さんありがとうございました。


観てくれたお客さんに後から聞くと曲の出来も良く、基本を押さえたとても良いステージであったそうだ。
無事ステージは終了した。


間近でじっと真剣なまなざしで観てくれているホブカットのお姉さんが印象的であった。


本当ありがとう。


怖い階段をゆっくり降りて機材を運び込み、整理整頓をしていると、楽屋に要君がやってきてくれた。


彼が東京に転勤なってからであるから、もう10年以上ぶりの再会である。

要君は私が今より前ブラスロックバンドをやっていた時のトランぺッター、ハイノートヒッターである。
私の様々な音楽遍歴を知っている数少ない人でもある。
短い時間ではあったがお互いの近況報告をして、これからの決意を語り合った…のかよくわからないけど、会えた事はとても嬉しかった。


そしてお話できなかったけど応援してくれた人、ありがとう。
もちろん声をかけてくれた皆さんありがとう!


彼を見送った後、ROW☆ZAさんがステージから帰って来た。お疲れさまでした!


機材片付けも一段落つき、Kou先輩とTack氏と物販ブースの横からBelzebuthさんのステージを観る。


お客さんは100人はゆうに超えている。150人くらいか。後ろまで一杯。

ボーカルの人は本当X時代のTOSHIそっくりである。裸で腹筋割れてる。
ギターは解散直前のピンクの髪型していた時のHIDEにそっくり。片方はがっつりレスポールのPATA。
ベースはTAIJIそっくり。そしてYOSHIKIは絶対的にYOSHIKIである。

各メンバーコピーしている時代がバラバラなのが面白かった。


ステージはこれぞX!と誰もが言うであろう内容。
私もX(JAPANからだが)が好きだったので、本当楽しめた。
JEALOUSYまでの有名どころ、SADISTIC DESIRE、BLUE BLOOD、SILENT JEALOUSY、Stab me in the back、紅、はもちろん、Orgasmの時のドラムソロとか、本家でもめったにやらないRose of Painとか、
X好きな人には、あ〜これこれ!と当時夢中になっていた時を思い出すセットリストではないだろうか。


Xのステッカーを貼ったメイクボックスを持っている人もいた。
そりゃ動員多いよね〜。だって観たいもん。


機材撤収のため、楽屋に戻る。かなりクタクタ。
5Xさんの円熟の渋い演奏を聞きながら段取りを考える。ボーカルの方のパワーのある、同時にのびやかな声が良い。本当にゆっくり観たかった。
上に上がると、Belzebuthさんのお客さんらしき人がたくさん集まっていた。
5Xさんの演奏は観ないのかなあ。私なら観るけどなあ。


ボツボツ大粒の雨が降って来た…。


自分の目当てのバンドさん観て他は観ないって人結構多いみたいだね。
まあこんだけ情報も音楽もあふれているからアンテナ開くとき開いてあとは閉じるのも自分を保つためのひとつの選択なのだけど。
しかし、何のためのブッキングライブなのだろうか。
北嵯峨の時のお客さんの数とBelzebuthさんの時のお客さんの数を比べてしまう。


コピバンとオリジナルだから比べてはいけないのだろうけど。しかし、これでいいのかなあとは思う。
厳しい現実だな。誰に観て欲しいのか方向を定めて動かないと見向きもされない。


しかしともかくは事故なく無事に着いて無事に演奏する事ができただけでも絶対プラスであるのだが。

良い経験だと思う。


そんな事考えていたら何かふくらはぎがプルプルしてきた。ヤバい。身体中の糖分が足りない。かなり空腹だったようだ。


雨がやんだので本格的に機材の撤収にかかる。ここでまごついては他のバンドさんに迷惑がかかる。
駐車場まで何回か往復して機材をしまう。


何かここって大阪に例えたら、緑地公園みたいやなあ。ビルが雨後の筍のように建っている。


フランクフルトを食べてビールを飲み少しカロリーを入れる。
悪い夢が演奏されている。


アンコールもあり、そしてイベントが終わる。MADさんボドさんありがとうございました。

K@rinaさんの電車もあり早めに精算と挨拶を済ませ、鹿鳴館を後にする。


もう身体も精神もクタクタ。何か食べたいけど、がっつりご飯をいくと余計にしんどそう。
この時点で23時半近かった。


メンバーでいろいろ考えた結果、宿泊先の近所でご飯を食べる事になり環状線じゃなかった、山手線で移動。


目黒駅は地上だけどホームは階段を下りて地面の下にあった。何かここは守口市駅みたいやな。


「なんで初乗り140円やねん!環状線でも120円やで」と脇本氏はいろいろ言ってる。
確かにねえ。
私は挙動不審全開。


電車の中では、おじさんがかゆいのかすごい顔をして全身掻きまくっていた。体中血だらけ。
人はそこそこいっぱい。
私はますます挙動不審になる。


次の駅で降りて、ホテルにチェックイン。King師は仕事があるため、Tack氏、Kou先輩、脇本氏、私でいろいろご飯どこにしようか彷徨った挙げ句、串カツ居酒屋に入る。



後から考えたら東京まで来て串カツかよ〜と突っ込む所だが、みんな、その時は慣れた感じの店で早く座ってビール飲んで食べて一息落ち着きたかったのだ、というのが本音だろう。
やはり関西が恋しいのだ。東京の壁は厚かったのか?
それは本当の所はよくわからないのだが。


串カツと揚げたこ焼き(東京まで来てたこ焼きかよ!)を食べ、まったりする。

あっという間になくなる。

北嵯峨は食べ物がなくなるスピードが異常に早い。1月の新年会ではコースの料理が30分でなくなり追加を注文しなくてはいけなかった程である。


一通り食べて飲んで落ち着く。


Kou先輩が「さっきな、生って言うたら、生ビールですよね?って返されたわー、何でやねん、普通にわかるやろ。」と関西弁で言っていた。
確かにこういう微妙な所が通じないとイライラする。


脇本氏は横でキャベツを食べながら電話している。私は眠さで意識朦朧。



ホテルに戻ったのが1時過ぎ。耳鳴りぐわんぐわん。時々ピーという音がする。髪の毛をほどき、お風呂に入り、持参したアロマオイルを足らし、ゆっくりお湯に浸かる。


明日はホテル8時30分出発だ。絶対遅れてはならない。



2時30分。眠れないよ。